創作の森に迷い込んだカエルの話

写真家、小説家などの創作活動にあこがれるカエルが、ふとしたきっかけで富士山の麓にある創作の森に迷い込んでしまったお話

140字小説 「新型コロナウィルス」

140字小説  

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コロナ禍、生活様式も変わり、よくも悪くも私たちの生活に大きな変化が出てきています。

そんな中書いた作品5編を読んでみてください。

 

 

「新型コロナウィルス」

 

ちょっとお前たち、後から来たくせに割り込むなよ。

ここは俺達が見つけた安住の地なんだ。

俺達はここで何千万年も平和に共存してきたんだ、人類が誕生した時からずっと。

それが何だ、1年足らずで目茶苦茶にして。

迷惑だ!

俺達腸内細菌の安住の地を奪う気か?

新型コロナウィルス!

 

*細菌とウィルスは別物ですが、ともに人間あって初めて生存できるのです。新型コロナウィルスも感染する人がいなくなれば滅びます。

ウィルスなどは特に、人類の進化の過程に大きく関与し、DNAには様々なウィルスの情報が組み込まれているとか。細菌、特に腸内細菌は人に不可欠な存在です。

人がウィルスに感染し体調を崩すと腸内細菌のバランスも大きく崩れることがあります。そこで思いついた小説です。

 

 

「新米の神様」

 

「お前何やったんだ!」

上司から強烈な雷。

「何を考えて仕事をしているんだ、顧客のことを考えているのか!」

もちろんだ。

僕は争いや環境汚染を引き起こし、破滅へひた走る人類を守るために人口を減らそうと新しいウイルスをばらまいたのに。

なぜ絶対神はわからないのか!

 

*80億人に迫る地球の人口。環境破壊(森林の減少、海洋汚染等)は加速度的に進み、人間以外の生物にとっては怒りを感じていることでしょう。中国やインドの深刻な環境破壊を見ていると人類の未来に不安を覚える(日本も同様)。

人口が増えすぎているんじゃないかと思う今日この頃。そこで思いついた作品です。

 

 

「お父さんの居場所」

 

俺には居場所がない。

俺には妻と年頃の娘、郊外にローンで購入したマンション。

普通の会社員に見えるが、俺には帰りたい家がない。

家庭では粗大ごみ扱い、在宅勤務などもっての外!

立ち寄る居酒屋は早く閉まってしまう。

早く普段の生活に戻ってくれ。

痛切に願っているのは俺だけではない。

 

*家庭におけるお父さんの居場所について考えることが多々あります。残業が減り、フレックスを採用する企業が増えてきた半面、家に帰りたがらないお父さん、「フラリーマン」という種族も(失礼)現れました。彼らはコロナ禍乗り切れるかな。

 

 

「おふくろの味」

 

今年の正月は故郷に帰ることができない。

そんな折、おふくろから小包。

中には手料理、地酒も入っている。

デパートの小綺麗なおせちなんかより、これだよこれ。

新年待ちきれない。

おふくろの手料理と地酒で年越しだ。

あー美味い。

故郷の味が喉から胃袋へと入ってくる。

 

*年末年始、ゴールデンウィーク、夏休みと、コロナ禍で規制できない人も多い。

そんな状況で思いついた作品です。

 

 

「最適な仕事環境」

 

テレワークに外出自粛。

普通の人はストレスがたまる時代なのだろうな。

でも、こんな僕にはチャンスの時代。

ITに関する僕の技術力が初めて世間に認めてもらえた。

スカウトされた会社でストレスなく仕事に打ち込める。

評価も急上昇、最高の環境さ。

だって僕はずっと引きこもっていたのだから。

 

*コロナ禍で一気に勤務形態が変わった日本、在宅勤務になじめない人も多いようです。特に、コミュニケーションが希薄になることでストレスを感じる人も多いとか。

コミュニケーション障害を持ち引きこもっている人たちになかには、隠れた天才も。その二つを合わせて書いてみました。

ショートショート 「イカスミパスタ」

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イカスミパスタ 

よっ、久しぶりだね、元気だった?

今日はしっかり飲もうぜ。

おっ、ここの居酒屋、イカスミパスタがあるじゃないか。

食べようよ、美味いよ。

大将、イカスミパスタ二つね。

あと生ビールの大も2つ追加ね。

 

イカスミパスタってさ、色は真っ黒だけど美味いよね。

イカスミの成分がアミノ酸だから、パスタのうまみが増幅されるんだって知ってたかい。

このまろやかでコクのある味がたまらないよ。

家では食べられないからなぁ。

でもさ、食べた後に歯が真っ黒になるのがちょっと辛いけど。

 

イカスミパスタはあるけど、タコスミパスタはないよね。

何故かな?

知っている?

ほら、僕は大学で水産学部だったし、釣りも好きでイカやタコ釣ることもあるから知っているけど。

学生時代はイカやタコを捕まえては大学の研究室で解体してよく食べたものさ。

おかげで釣りと包丁さばきはなかなかなものだぜ。

 

え?

イカ釣りはエギングと言ってブームだけど、タコ釣りは知らないって?

ちゃんとタコも釣りますよ。

特に冬、小さなイイダコをラッキョウで釣るの。

イイダコ、おでんに入れるところもあるよね。

面白い釣りだよ。

 

磯で生物採取していると、時々大きなタコを捕まえることもあるよ。

捕まえたら大学の研究室に持って帰って酒盛りだよ。タコをつまみにね。

タコは前処理が大切なのさ。塩でしっかりもんでぬめりを取っても見込まないと柔らかくゆでることができないのだよ。

これが力仕事でね。

洗濯機使っちゃう人もいるみたいだけど、大学の研究室にはなかったから、二本の腕でしっかりやるしかないんだ。

でも、これをしっかりやらないとおいしく食べられない。

おかげで腕の筋肉ほら、力こぶすごいだろ、タコのおかげだよ。

もんでぬめりを取ったら鍋にたっぷりのお湯でゆでるのだよ。そうすると真っ赤にゆであがってさ。

スライスしてわさび醤油で食べればお酒、いくらでも飲めたな。

 

え?

タコスミの話?

そうだったね、イカスミは食べてもタコスミは食べないってことだよね。

 

イカスミは料理するときにとても取り出しやすいんだ。しっかり袋に入っているしね。

でもタコスミは違うんだ。

臓器機関の中に隠れていて取り出しにくい、いや無傷で取り出すことなんてできやしないんだ。

おまけに、タコスミはイカスミに比べてサラサラしている。

でも、成分的には食べておいしいと思うんだけどね。

 

どうしたの?

イカスミパスタ食べないの?

気持ち悪いって?

そんなことないよ、いらなきゃ僕もらうよ。ほかに好きなもの注文しなよ。

 

それからさ、イカもタコも外敵から襲われ、逃げるときにスミ噴射するんだけど、目的は大きく違うんだ。

タコスミはさっきも説明したけれど、サラサラなんだ。

このスミは逃げるときに煙幕として使うんだ。

サッと海の中で拡散して、逃げるタコを見失しなってしまうんだ。

 

おっ、タコのから揚げ頼んだの?

一つちょうだい。

熱っ、美味いね、これ。

 

でもね、イカスミは違うの。

タコスミに比べて粘性が強いんだ。

これを吐いても海中に拡散しない。

ある程度形を維持して漂うんだ。

つまり、自分の分身。

外敵は喜んでこのイカスミを食べる。

その間にご当人のイカは逃げるんだ。

外敵がイカを追わずにイカスミ食べるんだから、やっぱり美味いんだよね。

 

あー。イカスミパスタ美味かったなぁ、居酒屋のパスタとは思えなかったよ。

それによく飲んだし。

久しぶりに大好きな海洋生物の話もできたし。

今日はありがとう、今日は一緒に飲めて本当に楽しかったよ。

じゃ、君はそっちの道、僕は反対だ。

またな。

 

あー楽しかった。

イカスミパスタ美味かったな、二人分食っちゃったよ。

 

ん?

君たち何なのいきなり出てきて、金を出せって。

高校生?

そんなことしちゃだめだよ。

うるさい金出せって?

こんな時は逃げるが勝ちさ、走れ!

 

あいつら追っかけてくるよ。

待て、おとなしく金出しなだって?

そういわれて待つバカいないだろ!

うっ、気持ち悪い、急に走ったからせっかく食べたイカスミパスタとビール吐きそう。

ダメ、ウゲ、ウゲゲゲゲ―。

 

大量に吐いちまった。

あれ?

あいつら、俺の吐いたものに取り付いているよ、しかも真っ黒になって。

何をやっているんだ、バカだねーあの子たち。

俺の吐き出したイカスミパスタを俺だと思っているんじゃないの?

分身の術、俺が吐き出したのはイカスミコピーロボットだったってね。

はー、イカスミに助けられたね。

でも笑っちゃうよ、あの光景。

140字小説 「妖怪編」

140字小説

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SNSの世界に、140字小説というジャンルがあります。

Twitterの制限文字数が140字、その中で小説を創作しようというものです。

原稿用紙半分にも満たない文字数で、小説が書けるのでしょうか?

現在私も挑戦中です。

 

今回は妖怪物5作をお読みください。

 

「妖怪 竜灯」

ねえ見て、海に光が浮いているわ。地味だけどロマンチックね、何の灯かしら。あちらにもこちらにも。連なって空に浮かんで行くわ。こんな素敵な光景が見られるなんて超ラッキー!

オイオイ、何がロマンチックだ。俺たち妖怪竜灯を見てうっとりしやがって。本当に棲みにくい世の中になってきたもんだ。

 

*竜灯(龍燈、龍灯)は、日本各地に伝わる怪火。海中より出現する。

昔は恐ろしい現象だったのだろうが、現代人が見たら果たして恐ろしく感じるだろうか?

 

 

「雪ん子」

都会の空に雪が舞い始めた。

雪を見ると胸の奥がキュンとなる。

温かく懐かしい気持ち。

今はもう帰れない故郷の雪山、そこに住む素朴な人々の記憶。

私の故郷にもう人はいない。

帰りたくても帰れない。

もう一度、故郷の温もりを味わいたいな。

なぜなら、私は雪の精霊「雪ん子」だから。

 

*雪ん子とは子供の姿の雪の精。過疎化の進んだ現代社会、少し成長した彼女の居場所はあるのだろうか。

 

 

「ジェラートを食べる美女」

色白の美女がジェラートを食べている。

真冬なのに無心に。

アマビエジェラートだって、あなたはいいわね一躍時の人、いや妖怪。

彼女がため息をつき見上げた空には雪が舞っていた。

私の季節がやってきたのに今年はだれも注目してくれないわ。

そう呟きながら雪女はジェラートを食べている。

 

*「雪女」 今はアマビエが時の人、いや時の妖怪だが、ちっとも話題に上らない雪女、嫉妬してるだろうな。

 

 

 「沈丁花」

この花、沈丁花の香りはマジ幽霊だよ、春だから出てくるよ彼女。

ほら出た、見えるかい?

色白の女性の幽霊が庭の隅に立っているよ。

怖がらなくても大丈夫、何もしないから。

言い伝えがあって昔からこの沈丁花の老木が花をつけて香ると彼女が出て来るのさ。

また今年もその季節がやってきたんだ。

 

*沈丁花の怪談話から。彼女も季節の風物になったりしてと思って。

 

 

「桜の精」

私のモテ期終わっちゃったのかな?

桜の木のそばで少女がぽつんとつぶやいた。

満開の桜の花、周りには大勢の人。

だが、誰も桜の木のそばの少女に声をかけない。

よく見ると可愛いのだが、地味なのだ。

彼女はその美貌で多くの男性を虜にしてき桜の精。

でもちゃんと今風の化粧しなきゃモテないよ。

 

*昔は多くの男性を虜にした桜の精、でも当時に美少女も現代人には美しく見えないのでは?

 

お読みいただきありがとうございました。

また次回をお楽しみ。