創作の森に迷い込んだカエルの話

写真家、小説家などの創作活動にあこがれるカエルが、ふとしたきっかけで富士山の麓にある創作の森に迷い込んでしまったお話

超ショートショートの不思議な世界

超ショートショートの不思議な世界 寿司ネタ

「寿司ネタ」 大将、この寿司うまいね。でもさ、このネタの魚って捕獲が禁止されているだろ。 えっ、秘密のルートがあってそこから仕入れているの? 秘密だよって、大丈夫、誰にも言いやしないよ。こんなに美味しいものが食べられるんだから。 秘密の裏メニ…

超ショートショートの不思議な世界 いつもの光景

「いつもの光景」 通勤電車の中、見つめていたスマホ画面から顔を上げ、何気なく周囲を見回してみる。 座席に座っている人、吊革につかまっている人、全員スマホ画面を眺めている。 もちろん僕もその中の一人だ。 でも、なんだか奇妙な光景だな。 そう思った…

超ショートショートの不思議な世界 覚えているの?

「覚えているの?」 「昨日食べた晩御飯覚えている?」 スマホを眺めながら晩御飯を食べていた僕に、妻がいきなり聞いてきた。 何を食べたっけ、思い出せない。「私が作った晩御飯、感謝して食べていないから何も覚えていないのよ。あなたはいつもスマホばか…

超ショートショートの不思議な世界 不思議なチョーク

「不思議なチョーク」 この白いチョーク、空き地の横にある小さな文房具店で買ったんだ。 とても不思議なチョークなんだよ。 道路にこうやって線を引くでしょ、そうすると線のあちら側とこちら側で世界が分かれるんだよ。 試しにあちら側へ行ってごらん。 次…

超ショートショートの不思議な世界 マジックショー

「マジックショー」 人気のマジックショーが商店街にやって来た。 マジシャンが、人が一人やっと入れるくらいの箱の中を観客に見せている。 もちろん空っぽだ。 さあ、どなたかこの中に入ってくださる方は、とマジシャン。 観客は戸惑っているので、マジシャ…

超ショートショートの不思議な世界 自己満足

「自己満足」 我が社の技術力の粋を集めて開発した、画期的な商品をご紹介します。 このヘルメットです。 強度は抜群、どんな衝撃からも頭部を守ります。 それだけではございません、耐圧も気密性も耐熱性も抜群で、どんな深海でも宇宙空間でも地底のマグマ…

超ショートショートの不思議な世界 エキストラ

「エキストラ」 次のシーン撮影入ります、エキストラの方々準備お願いしまーす。 歩行者の方々と、君は荷物の役ね。 映画好きの僕はエキストラのバイトに応募した。 待ち時間が多くて時給は割に合わないけれど、貴重な体験だ。 大好きな俳優と、例え一瞬でも…

超ショートショートの不思議な世界 潜む

「潜む」 ある朝、僕はどうしても会社に行くことができなくなってしまって、ベッドのマットレスの中に身を潜めた。 これからこの場所で生活することに決めたのだ。 スマホ一つ持っていれば何とかなるだろう。 マットレスの中は暗くて、狭くて、ヌクヌクして…

超ショートショートの不思議な世界 個性の時代

「個性の時代」 ある朝起きてみると、僕に尻尾がはえていた。 狐のしっぽみたいに茶色く太い尻尾だ。 ズボンがかなり窮屈だったけど、尻尾がはえちゃったのだから仕方がないか。 街に出ると、こんな現象は僕にだけ起こったわけではないようだ。 像みたいな耳…

超ショートショートの不思議な世界 巨大遺跡は

「巨大遺跡は」 古墳ブームだ。 仁徳天皇量が世界遺産に登録された。 前方後円墳、このように美しく巨大な古墳が大昔に作られていたなんて。 日本の古墳だけではない。エジプトのピラミッドやナスカの地上絵など、昔の人はどうやって作り出したのだろう。 本…

超ショートショートの不思議な世界 新しい惑星

「新しい惑星」 この惑星で確認された大きな噴火口から、マグマと思しき液体が大量に噴出されるのが確認された。 規則的に、一定の期間で大量に宇宙空間まで噴出される。 噴火口の反対側にある地表に確認された巨大なクレバスにも、これまた定期的に巨大な隕…

超ショートショートの不思議な世界 見なかったことに

「見なかったことに」 突然、ガツンという衝撃が僕の体に走った。 そして地面にたたきつけられる。 キャーという悲鳴が周囲から聞こえる。 どうやら僕は、信号無視をしてきた車に跳ね飛ばされたらしい。 僕にぶつかった車はフロントが大きくへこんでいる。 …

超ショートショートの不思議な世界 七夕の空

「七夕の空」 「ママ、天の川きれいね」 七夕の夜、私は娘と二人で夜空を見上げていた。「織姫様と彦星様のお星はどこかな」 娘は夢中になって夜空を眺めている。「あっ、流れ星だ」 長い尾を引いて夜空を流れ星が横切った。「お星さまきれいだねー、毎日こ…

超ショートショートの不思議な世界 教育

「教育」 大きなあくびをして、思い切り体を伸ばして、ああ今日もよく寝た。 ちゃんと栄養バランスを考えた食事も用意されているし、よしよし満足。 さて朝の散歩だ、付き添いを頼むよ。 いつもの場所で、いつもの顔見知りとすれ違う。 軽く挨拶。 おや、あ…

超ショートショートの不思議な世界 この子誰の子

「この子誰の子」 他人に自分の子供を無断で預けて育てさせるのが、無責任な行為ですって? あなたたちに言われる筋合いはないわ。 あなたなんか旦那さんに黙って、血のつながっていない子供を育てさせているでしょ。 モラルが地に落ちた人間と、私たちを一…

超ショートショートの不思議な世界 呪いの言葉

「呪いの言葉」 「おかしい、なぜ誰も私を恐れないのだ」 私は長い間、棺の中に封印されて閉じ込められていたミイラ男だ。 この時代に入り、やっと発掘されてこの地に運ばれ、学者という者が棺の封印を解いてくれた。 今宵私は、数千年の眠りから目覚め、棺…

超ショートショートの不思議な世界 ツボに壺

「ツボに壺」 なになに、腰が痛くてたまらないですと? 大丈夫、私に任せなさい、すぐに楽にしてあげます。 ここは評判の整体院、先生の腕は確かですから。 腰の痛みに効くツボはここなんです、ほらこんなに凝っている。 それでは治療を始めますね。 腰のツ…

超ショートショートの不思議な世界 神様ビジネス

「神様ビジネス」 もう何かに頼って生きることはやめにしよう。 僕は僕の力で生きていく。 僕は今までの人生を振り返って、両親や苫立ちに頼って、流されるままに生きてき。 もうそんな人生にピリオドを打つんだ。 自分の人生は自分で切り開いて、自分に力で…

超ショートショートの不思議な世界 理想の住まい

「理想の住まい」 「やはり都心のマンションがいいよね、夢は高層マンション」「高層マンションって高層階になればなるほど住んでみると何かと不便で不安なところもあるらしいから、高級住宅街の低層マンションなんかが住めたら最高だよな」「いやいや、都心…

超ショートショートの不思議な世界 ガラポン

「ガラポン」 商店街で見つけたリュックサック、かっこいいなぁ。 でも三万円もするんじゃ、今の僕にはとてもじゃないが手が出ない、夢のまた夢か。 そんな時、商店街の夏の大感謝祭で福引券ゲット、商品にあのかっこいいリュックサックがあるじゃないか。 …

超ショートショートの不思議な世界 ツチノコ遭遇

「ツチノコ遭遇」 ツチノコを前にして、俺たちはにらみ合っていた。 ついに発見したツチノコ。 すでにブームは過ぎ去ってしまっていたが、日本国内のUMA発見に人生の全てを掛けている俺は、現在もツチノコに関する情報を集め捕獲することに執念を燃やし続け…

超ショートショートの不思議な世界 子供たち

「子供たち」 私はミュージシャンとして、血のにじむような努力を重ねて今の地位を築いた。 そして金も名誉も手に入れた。 だが、これらはいくらあっても物足りない。私はまだまだのし上がり、誰もがうらやむ存在になりたいのだ。 そのためだったら何でもや…

超ショートショートの不思議な世界 ヒーローの時代

「ヒーローの時代」 僕はどうしてもヒーローになりたかった。 この世の悪を倒して平和を守り、子供たちに夢を届けるのだ。 現実問題、そのようなことを周りの人に話してもバカにされるだけだ。 テレビや漫画の見過ぎだとか、幼稚な夢だ、もう少し大人になれ…

超ショートショートの不思議な世界 空を飛びたい

「空を飛びたい」 僕は空を飛んでみたいと思い続けていた。勉強している時とか何かに集中しなければならないときに、特にこの気持ちが強くなる。それだけ僕の飛びたいという願望が強い証拠なのだ。これだけ強い気持ちを持ち続けてきたのだから、絶対に空を飛…

超ショートショートの不思議な世界 霊体離脱

「霊体離脱」 今の世の中、うかうか霊体離脱もできなくなってしまったよ。 この間久しぶりに霊体離脱をしたんだ。 そう、昼寝をしている最中にね。 フワッと体が浮き上がる感じがして、眼下に寝ている僕が見える。 もう少し上空に浮き上がってみようかなと思…

超ショートショートの不思議な世界 校舎

「校舎」 その場所に小学校の校舎が建っている。 ずっと昔から建っている。 校舎が建ったばかりの時には子供たちの声で活気づいていた。 時と共に子供の数は減り、校舎から子供たちの声は消えてしまった。 周囲には住む人もいなくなった。 それでも校舎は建…

超ショートショートの不思議な世界 社会の法則

「社会の法則」 最近手先が不器用になったと思っていたら、いつの間にか右手の指が七本になっていた。 座り難くなったと思ったら、尻尾がはえていたし。 やたらとお腹がすくと思ったら、どうやらもう一つ胃袋ができてしまったらしい。 最近体中に余分なもの…

超ショートショートの不思議な世界 見極めてから

「見極めてから」 地図の上から突然アメリカが消えた。 続いてロシア、EU諸国。 次々といろんな国が消えていく。 アフリカ大陸もなぜかそわそわし始めた。 日本はというと、こんな事態になってもじっと動かない。周辺諸国の状況を見極めてということらしい。…

超ショートショートの不思議な世界

「キツネとタヌキ」 やった、高学歴高収入のイケメンをゲットしたわ。 エステに流行ファッション、高い化粧品。お金をかけて努力した甲斐があったというものよ。 これで結婚までこぎつければわたしの勝ち。 その先の裕福な生活が保障されたも同然ね。 でも、…

超ショートショートの不思議な世界 地獄の生活

「地獄の生活」 浪人生活はまるで地獄のような一年だった。 何としても超一流大学に合格して、今まで心配をかけてきた両親を喜ばせてあげたい。 僕がこの大学に合格すれば、両親だって鼻が高いだろう。 いよいよ合格発表だ。 壁に張り出された合格者の受験番…