「最良の仕事の日よりも最悪の釣りの日の方が、まだマシである」
ニュージーランドの諺
釣り好きである。
自分で釣るのも、
釣り関係の本を読むのも、
釣りの番組を見るのも、
当てもなく釣り道具屋をのぞくのも。
しかしながら、釣りの腕前は、お世辞にもうまいとは言えない。
むしろへたっぴぃである。
人が5匹釣るところ、1匹釣れれば良いほうだ。
この事実、何回道具のせいにしたことだろう。
買い換えたロッドやリールの数底知れず・・・
昨年末も石垣島に出向く際、釣果が上がらないのはリールのせいではないかと思い、アブガルシアのスピニングリールを売り払い、ダイワフリームスに買い換えた。
そして、その結果は・・・
滞在期間中、ズーッと雨にたたられた。
もちろん釣果は察して知るべし。
もちろん道具の責任でもない。
こればかりは日頃の私の行いか・・・
これがもし仕事だったら。
間違いなく落ち込む。
浮き上がれないくらい落ち込む。
転職も考える事だろう。
しかし、釣りだと全く逆である。
なにくそ、と思う。
次は絶対、と思う。
敗北を起点として、挑戦という楽しい日々が始まるのだ。
この差は、イッタイナンナンダロウ???
琉球タライロン ホシマダラハゼ
過去に一度だけ、初めてのトライで会うことが出来た憧れの魚がいる。
一目惚れしてしまった魚。
テレビでそのグロテスクで、武骨で、まるでシーラカンスのような魚体。
アマゾンに生息する怪魚「タライロン」
一度お目にかかりたい。
アマゾンまで出かけてお会いするのは、まず無理であろう。
水族館で展示してあるところもあるようだし、観賞魚として販売もされているようだ。
でも、手軽に会えそうにもない。
などと考えながらネットで情報を集めていた。
すると
「琉球タライロン」
というワードが。
「??」
沖縄地方に生息する、国内最大級のハゼ「ホシマダラハゼ」の通称らしい。
「ホシマダラハゼ」
小さいが、その風貌はまさにタライロン。
ちょうど石垣島に行き、ガイドのレッドヘッド赤木さんと釣りをすることにもなっていた。
釣らなければならない。
石垣島の「ホシマダラハゼ」にお会いしなければ。
私は2016年年末から2018年年始にかけて、石垣島に十数度目の上陸をはたした。
琉球タライロン「ホシマダラハゼ」
ハゼ亜目魚類としては大型種で、全長約45センチにまで達する国内最大級のハゼ。
分 布 : 種子島、琉球列島、インド~太平洋
生息環境: 河口汽水域のマングローブ域や、その周辺湿地に生息。淡水域に入ることがある。
絶滅危惧Ⅱ類
事前にレッドヘッド赤木さんから、ポッパーを持ってくるようにとの連絡を受けていた。
準備万端。
やる気も満々。
しかし、自然は無常だった。
何週間か前、石垣島は豪雨に見舞われていた。
カヤックで川を下るも、はるか頭上の枝にごみが絡みついている。
増水の物凄さが容易に想像できる光景だった。
川に魚の活性は感じられない。
期間は2日間。
そのような中で、増水の影響があまりなさそうな川を求めて彷徨い場所を変え、その結果、ほんの1時間ほど天使が微笑んでくれた。
川岸、ロッドの反動を利用して、2,3メートル先のマングローブの根元にポッパーを落とした瞬間に奴は現れた。
濃いグレーの魚体が根元の濁った水から飛び出し、大きな口をあけ、ポッパーに食らいつき、身を反転させた。
やった、初遭遇。
慎重に慎重に。
そして私の手の中へ。
その時の釣行は2日間。
天使が微笑んでくれたのは、わずか1時間ほど。
2匹との遭遇だった。
それでも大満足の釣行だった。
釣りとは本当に不思議なものだ。
長く続いた不安、焦り、それこそ欲求不満が、一瞬のバイトでふり払われる。
何日にも及ぶ苦行が一瞬で吹き飛ぶ。
だから、釣りはどんな困難も絶えることが出来るのだ。
いや、打ちひしがれて、再度挑戦し、獲物をゲットする過程も最高に楽しいのだ。
年に1回の石垣島への釣行、魚はなかなか相手にしてくれない。
私の苦行はまだまだ続いている。