最近お父さんは怒っている
本屋に立ち寄れば、老後の不安をあおるような本が沢山並んでいる。
内容はどれも、年金だけでは生きていけない。
そのためには・・・
まるで老後不安問題をあおって稼いでいる連中が、沢山いるような気がしてしょうがないのだ。
更に、政府は定年延長、もしくは定年制度自体の廃止を推奨し始めている。
皆さん、年金は70歳過ぎてからもらおうね。
働ける間は働こうね。
みんな、年金に頼らず死ぬまで元気に働こうね。
早い話、そういっているのですよね。
金融審議会報告書(2019年6月3日発表)
おまけに、先だって金融庁の金融審議会(市場ワーキング・グループ)がまとめた報告書「高齢社会における資産形成・管理」(2019年6月3日発表)によると、「人生100年」時代に、95歳まで生きるには夫婦で約2000万円の金融資産の取り崩しが必要になると指摘。
「2000万円ないと日本では老後、生きていけないのか・・・」と、波紋が広がった。
金融庁の報告書は、夫65歳以上、妻60歳以上の無職の世帯の場合、毎月の平均収入は年金による約20万円で、それに対する支出は約26万円。毎月の赤字は約5万円となり、1年では約66万円。定年後に夫婦で95歳まで生きる場合には、約2000万円(=約5万円×12か月×30年)の貯蓄が必要となるとの可能性を指摘した。
2000万円貯めるなんて無理だ
お父さんは涙ながらに訴えた。
突然、「2000万円貯めろ」といわれても、「そんなの無理だ!」
横でお父さんを見つめるお母さんの目は
「お父さん、いつまでも元気で死ぬまで私たちのために働くのよ」
そう語っている。
お父さんは頑張って働いてきた
結婚して、子供が出来て、マイホームを建てて、そして子供二人を大学まで行かせて・・・
「2000万円なんて貯められるわけないじゃないか!」
40歳の時に、30年ローンで手に入れたマイホーム。
60歳定年時の退職金で完済した。
子供たちも就職したし、さあこれからのんびりと人生を楽しむぞ、と考えていたのに。
確かに60歳になって雇用延長を希望した。
役職は無くなり嘱託扱い。
給料も30%以上少なくなった。
でも、仕事の内容、精神的負担は変わらない。
回りからは
「働けるだけ幸せだと思わなくちゃね」
といわれるが・・・。
なんだか最近、60歳を過ぎて安い賃金で社畜のようにこき使われるような気がしてならないのだ。
金融庁の発表に、民間金融機関は踊りだしたみたいだ
子供たちは、お父さんは年金もらえるから幸せという
子供たちが家に帰ってくるとため息交じりにつぶやく。
「お父さんやお母さんはいいよね、年金もらえるんだから」
「私たちは分からないからね。それに、最近銀行や保険会社がうるさいの。若いうちから資産運用しなきゃだめですよって。しつこいったらありゃしない」
そういえば金融庁の「2000万円発言」の時にも強調したのが「資産運用」の重要性。
今回の報告書では、若い現役世代に対して少額から長期積み立ての分散型投資への取り組みも提言していたぞ。
もしかしたら、最近60歳のお父さんにも頻繁に生命保険会社からアポイントの電話が来るのはこの発言が影響しているからなのか?
お父さんは深く考えてしまうのでした。
平和な老後ってあるのだろうか
お父さんに平和な老後は有るのでしょうか。
お父さんに何かが
お父さんはぽつりとつぶやいた。
「沢山お金がほしいわけじゃないんだ。サラリーマンはもう嫌だ。まだ体が動けるうちにやりたいことは沢山あるんだ。金融庁の計算額の年金不足分5万円プラスαが手に入れば贅沢はいわないんだけどなぁ」
日曜の午後、夕食までの間お父さんは散歩に出た。
立ち寄った本屋、老後を語る本なんて見たくもない。
プロレスの雑誌、アウトドアの雑誌などを何となくめくり、店内をうろついていた。
その時、何故か目に飛び込んできた本があった。
堀江貴文
「こいつ、嫌いなんだよな、金持ちはいやだ。刑務所に入ったくせに、言いたいこと言って、ロケット打ち上げて」
そういいながらお父さんは1冊手に取ってページをめくった。
自宅に戻ったお父さんの手には、何故か堀江貴文の本が2冊。
どうしたのお父さん?
この記事のお父さんはわたしではありません。
あしからず。
続く。