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リセット ~地球の意思は失敗を繰り返してしまったのか?【短編小説】

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「まただ、また失敗してしまった」

 

地球の「意思」がそうつぶやいた。

 

地球の「意思」は深く落胆してしまったのだ。

 

それも、再び・・・



北の指導者は妄想と現実の区別がつかなくなっていた。

自分の権力は絶対的であると信じて疑わないのだ。

彼は、この地球上で自分の権力を確固たるものにすべく、兵器の開発に全精力を傾けていた。

そして、それにより世界各国の指導者との交渉を有利に進めようと考えていたのだ。

 

大国の大統領にとって、北の指導者はまさに目の上のたんこぶだった。

北の指導者との取引に関しては、自国の権威、いや自分の権威を世界中に見せつけてやるよい機会と考えていた。

しかし、やつの考えは全く持って分からなかった。

「何を考えているんだ」

北の指導者を、手のひらに乗せてうまく転がしてやっていると思ったら、突然牙をむいてきた。

「大目に見てやれば図に乗りやがって」

大国の大統領はこぶしを握り締め、歯ぎしりをした。

 

北の指導者の怒りは頂点に達していた。

「この俺様を馬鹿にしやがって」

大国の大統領が、思うように彼の交渉条件を飲まないのだ。

それどころか、強硬手段に出て来たのだ。

「なめられてたまるか!」

妄想と名誉欲に凝り固まった北の指導者の怒り心頭に達した。

そして彼は、ついに核ミサイルの発射ボタンを押した。

 

地球上に核ミサイルが飛び交った。

地球上のあちらこちらで不気味なキノコ雲が湧き上がった。

 

そして、地球上の環境は激変した。

 

大地は放射能に汚染され、大気は破壊され、紫外線が容赦なく地表に降り注いだ。

 

人類はおろか、哺乳類を含むほとんどの生命体が死滅した。

 

6500万年前に、巨大隕石が地球に衝突し恐竜たちが死滅したように・・・



深いため息が地球上を包み込んだ。

 

「また失敗してしまった」

 

地球の「意思」は深い悲しみに打ちひしがれていた。

 

2度目の失敗だった。

 

一度目は恐竜。

 

彼らは2万年近くの間地球上で栄え、種族を増やし頂点に君臨していた。

地上で、海で、空で栄えたが、あるものは巨大化し、凶暴になっていった。

集団で狩りをするものも現れたが、ある意味進化の袋小路に迷い込んでしまったのだ。

恐竜たちが地球を支配する2万年の間に、高度な文明を築くに至らなかった。

 

地球の「意思」は、進化の袋小路に迷い込んでしまった地球上の恐竜たちをリセットして、新たなチャンスを哺乳類に託すことに決めたのだ。

 

彼ら哺乳類は、恐竜全盛の地球上では、小さくひ弱な存在だった。

絶えず恐竜たちにおびえ、物陰で体を震わせながら生活していた。

 

地球の「意思」は地球に隕石を落とすことで恐竜たちが支配する世界をリセットすることにした。

 

そして、恐竜たちが滅び、環境が激変した地球上で哺乳類たちは活動を開始したのだ。

 

結果として、哺乳類はわずか6000万年で、進化の過程で何回か寄り道はしたのだが、ホモサピエンスが出現した。

そして彼らは高度な文明を築いて行った。

 

2度目はうまくいくはずだった。

 

恐竜達とは違い、哺乳類は素晴らしいスピードで進化し、文明を築着始めたのだ。

 

だがしかし、哺乳類の頂点にたった人類の本質は恐竜たちと変わらなかった。

 

人類は貪欲で、支配欲が強く、見方によっては恐竜と変わりはなかった。

 

「また失敗してしまった」



地球の「意思」は大きく落胆した。

そして再び歴史をリセットすることを考えた。

 

しかしながら、人類をリセットするのに、地球の「意思」は必要なかった。

人類は、自ら核ミサイルというリセットボタンを押してしまったのだ。

 

そして人類、いや、地球上の生命は壊滅的なダメージを負ってしまった。

 

赤茶けた大地が地球表面を覆った。

緑の、そして青い地球の面影は失われてしまったのだ。



赤茶けた地球に、長い長い時間が流れた。

 

「3度目こそは」

 

地球の「意思」がつぶやいた。

 

放射能汚染がなくなり、大気が再生され、地球上に生命体が繁栄できる環境が整うまで数千年の年月が必要だった。



そしてようやく地球上に青い空、青い海、そして緑の大地が復活した。

 

とある大陸の川べり、草むらに動きがあった。

 

生命体だ。

地球上で生き残った生命体が存在していたのだ。

 

生命体はあたりを用心深く観察し、安全を確かめるとゆっくりとその全身を現した。

 

6本足、複眼の生命体が顔を出した。

彼こそが、地球の「意思」に選ばれた未来の地球を背負うことになる生命体。

過去に昆虫として栄えた生命体である。



「さあ、3度目の挑戦だ」

 

昆虫たちは、地球の「意思」を受け継ぎ、これから進化し、この地球上で理想の世界を築くのだ。

 

地球にとって3度目の挑戦が始まった。