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超高齢化社会とロボットスーツ 【ショートショート・短編小説】

この前、「お父さんは何歳まで働き続けるのか」という記事を書きました。

その時にふと頭をよぎったことを、ショート・ショートとして書いてみました。

お読みいただければ。

www.enjoylife-masa.com

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「超高齢化社会とロボットスーツ」


僕の勤務する老人介護施設に入居していたマサ爺さんが、独り暮らしに戻ることになった。

自宅のマンションに戻るのだ。

もちろん、仕事も始める。


90歳になったマサ爺さんは、銀行ローンの審査をバスして30年ローンで最新のロボットスーツを購入したのだ。

これで寝たきりの生活ともお別れして、また若い頃のように体を動かせる。
もちろんすでに再就職も決まっている。

銀行が建設会社を紹介してくれたのだ。

マサ爺さんは自宅に戻ったらすぐに、建設現場で働くことになる。

重機の取り扱い経験豊富なマサ爺さんのことだから、新しい職場では重宝される事になるだろう。

 

マサ爺さんのようにロボットスーツを着用すれば、これから先30年以上も働ける老人は日本にとって、企業にとって貴重な存在なのだ。

肉体は最新のロボットスーツが100パーセントサポートしてくれる。

そう、まるで自分の体のように。

脳だけがしっかりしていれば問題ないのだ。

マサ爺さんは医学の進歩もあって、頭だけはしっかりしていた。

 

先ほどまでベッドで寝たきりの生活を送っていたマサ爺さんは、ロボットスーツを着装するなりシャキッと立ち上がった。

そして、ロボットスーツを通して、

「みんな世話になったな、これからも元気でな」

と明確な言葉を僕たちにかけてくれた。

先ほどまではモゴモゴと不明瞭で聞き取りにくい言葉しか発しなかったのに。

そして、僕や今まで介護してくれていた他の職員たちににっこりと微笑み、右手でVサインを出すと、颯爽と歩いて施設を後にした。

 

隣のベッドのアツシ爺さんは、よだれを流しながら羨ましそうに見ている。
アツシ爺さんは治療を続けても30年以内に認知症発症の可能性が高いという診断結果が出たため、ロボットスーツを購入するためのローン審査にパスしなかったのだ。

今日はユミ婆さんのローン審査だ。
ロボットスーツに身を包み、白衣をまとった銀行の契約医師がやってきて健康診断を行う。
医師は元の肉体は脳だけだ。
しかし、並外れてしっかりしている脳の持ち主だったため、60年ローンを組むことができたのだそうだ。
現在150歳、まだまだ第一線でバリバリ働くと豪語している。

街中にはロボットスーツに身を包んだお年寄りたちの姿をたくさん見かけるようになった。

皆元気に働いている。

 

医学の進歩で寿命が格段に延びた日本、人口減少と高齢化が一層進み、100歳を超えても働かなければならない事態に直面してしまった。

だが、脳さえ元気ならばロボットスーツを着用して若いころと同じように生活することができるのだ。

 

一昔前まで寿命と健康寿命に開きのあった時代は終わった。

老後をベッドで過ごすことも無くなりつつあるのだ。

今や人生200年時代。

それも寝たきりの生活とは無縁な200年になりつつある。

 

ヘルパーの僕は60歳、まだまだ人生の修行中。

多少腰が痛くなってきたが、会社が用意してくれるパワースーツで腰をサポートするだけで頑張っている。

 

一昔前は、定年70歳だったそうだが、70歳はいまでは若造になりつつある。

 

もう少し時代が進めば、認知症も完全に克服できるだろう。

今回、ローン審査に落ちたアツシ爺さんだって望みはある。

それに、30年ローンを組まなくても、いずれ程度の良い中古のロボットスーツも出回るはずだ。

 

僕たちは人口が5000万人を切り、しかも平均年齢が80歳を超える超高齢化社会に突入したこの日本をまだまだ国民として支えて行かなければらないのだ。