創作の森に迷い込んだカエルの話

写真家、小説家などの創作活動にあこがれるカエルが、ふとしたきっかけで富士山の麓にある創作の森に迷い込んでしまったお話

140字小説 「物語」

140字小説

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ふとしたきっかけで、頭の中に昔読んだ童話が今の自分なりの解釈でよみがえることがあります。

大人になった分だけシニカルな内容で、とても童話や昔話とは言えませんね。

 

「ここ掘れワンワン」

 

僕は裏山で懸命にお宝を探し。

見つけた!

大声でご主人様を呼ぶ。

ここ掘れワンワン。

ご主人様は懸命に掘った。

ポチ、大判小判は無いぞ、この無駄飯食い!

僕は捨てられ新しいご主人様に拾われた。

ここ掘れワンワン。

ご主人様は満面の笑み。

松茸だ、ポチ賢いなぁ。

そう、僕は松茸犬。

 

*「花咲じじい」のお話から。人によって物事の価値観は異なりますよね。パートナーを間違えると自分の能力を正当に評価してもらえない。会社でも同じように悩んでいる人って沢山いますよね。適材適所にぴったり当てはまる人って少ないのでは?

 

 

「桃源郷伝説」

 

昔々、日本には姥捨て山があったとさ。

 

オバアが独り言ちた。

役目は済んだ。子供も立派に成長したし、邪魔にならぬよう山に入ろう。

 

山奥でオバアは声を聞いた。

 

神だ。オバアご苦労、これからは思う存分贅沢をして楽しんでおくれ、ここはまじめに生きた人間だけがたどり着ける桃源郷だ。

 

*姥捨て山、実際に昔の日本にあった話です。苦労して家族支えて、最後は捨てられて。

今の日本も貧富の差が激しくなり、苦労している人も沢山います。真面目に生きている人を、神様はちゃんと見てくれているのかしら?

 

 

「山椒魚」

 

ようこそ私の部屋に、お待ちしておりました。

良い香りがするって?

それは私オオサンショウウオの体臭、でも山椒の香りとは少し違うんですけどね。

私は体が大きくなりすぎてこの穴から出られないんですよ。

食事はどうしているかって?

ククッ、私の香りにうっとりしている目の前の貴方です。

 

*童話とは異なりますが、井伏鱒二の山椒魚からひらめいた、シニカル版。本家の山椒魚の食生活に疑問を持ったのです。

 

 

「マッチと男」

 

転落人生、会社解雇から半年でホームレス、もう駄目だ。

手元には拾ったマッチ箱。

一本擦る。

炎の中に幸せな頃の自分が見えた。

擦る度に炎の中に幸せな過去が。

そして今の自分が見えた。

次の一本からはずっと真っ暗。

寒さと空腹で薄れる意識の中で最後の一本。

炎の中に神が見えた。

落第、人間やり直せ。

 

*「マッチ売りの少女」のホームレス版です。この童話はある意味悲劇で終わっていますよね。マッチを擦るのが大人だったら神様は厳しい一言を投げかけるでしょう。

 

 

「羊飼いと狼」

 

狼が来た!

羊飼いの少年が叫び、その声で狼は逃げ出した。

少年は毎日叫ぶので、村人はまた少年が嘘をついたと信じなかった。

それでも少年は羊を守り、叫び続けた。

ある日、狼は叫ぶ少年に近づき一飲みに食べてしまった。

村人は嘘つき少年が逃げだしたと噂した。

その後、毎日1頭ずつ羊は減った。

 

*「羊飼いと狼」です。羊飼いの少年は本当に嘘をついていたのでしょうか?用心深くて頭の良い狼は、少年の叫び声で逃げるはずです。もしそうだとしたら・・・