創作の森に迷い込んだカエルの話

写真家、小説家などの創作活動にあこがれるカエルが、ふとしたきっかけで富士山の麓にある創作の森に迷い込んでしまったお話

超ショートショートの不思議な世界 「見えない何か」

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「見えない何か」

 新しい家を買った。

 引っ越したその日に娘が「ねえ、この家何かいるよ」といった。

 よく見ると、リビングの片隅の壁に張り付くようにして「何か」がいる。形は分からないが気配を感じるのだ。

 その「何か」は、そっとこちらをうかがっているようだ。俺たち家族が友好的なのかどうかを心配そうに観察しているようにも感じる。

 こちらもしばらく観察していたが、「何か」はそこから動くわけでも悪さをするわけでもなさそうだ。

「大丈夫、悪いものじゃないからね」

 俺は妻と娘にそう言うと、怖がらないようにそこにあるものを置いた。

 それから毎日、俺たち家族はそこで手を合わせる。

「神様、今日も一日よろしくお願いいたします」

 そう、俺はそこに神棚を置いて、「何か」を「我が家の神様」に仕立て上げた。それからは「何か」と俺の家族の友好的な関係が続いている。