創作の森に迷い込んだカエルの話

写真家、小説家などの創作活動にあこがれるカエルが、ふとしたきっかけで富士山の麓にある創作の森に迷い込んでしまったお話

超ショートショートの不思議な世界 スローモーション

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「スローモーション」

 

 都会に住んで、毎日忙しく暮らしていた僕は、ある日周りの動きが急に早く感じ始めた。

 動きは日ごとに早くなっていく。

 道行く人々は短距離走者が全力疾走するような速さで動き回り、走る車もF1レース並みの高速走行だ。話す言葉も倍速以上で再生されている感じで聞き取れない。もちろん仕事も置いてきぼりだ。

 だめだ、もうついていけない。胸が締め付けられるような緊張感、息切れもするし頭が痛い。

 僕は一人、都会を逃げ出し遠く離れた山の中に逃げ込んだ。

 そこでは時間が普通に流れていた。都会で生活していた時のように、胸が締め付けられるような緊張感やストレスも感じない。

 鳥や虫の声を聞き、爽やかな風を体に感じて僕は生きていくことにした。

 僕の周りの時間はゆっくりと流れる。都会に住む人々に比べて僕はゆっくりと長い時間を生きている。

 そしていつしか僕は仙人と呼ばれるようになった。