創作の森に迷い込んだカエルの話

写真家、小説家などの創作活動にあこがれるカエルが、ふとしたきっかけで富士山の麓にある創作の森に迷い込んでしまったお話

超ショートショートの不思議な世界 おばあちゃんちの見えない子

 

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「おばあちゃんちの見えない子」

 田舎のおばあちゃん、大好きだよ。
 でもね、おばあちゃんの住んでいる古い家には絶対に何かいるんだ。
 広い玄関の隅とか、納戸の奥とか、仏壇の部屋とか。
 言葉ではうまく説明できないけど、絶対に何かがいるよ。
 別に怖いとかは思わないんだけど、僕が泊まりに行くと、必ずなにか感じるんだ。
 去年の夏休みにおばあちゃんの家に泊まりに行ったときに、おばあちゃんに思い切って聞いてみたんだ。
 「この家、何かいるでしょ」
 そうしたらおばあちゃんは、
 「おやあの子が見えるのかい、それは得したねぇ」
 と笑って答えてくれた。
 この家には見えない子供が住んでいるのかな?
 もしかしたら僕と遊びたいのかな。
今年の夏、おばあちゃんはもういない。お父さんとお母さんは、去年までおばあちゃんが一人で住んでいた古い家を処分しなくちゃいけないと言っていた。
 取り壊す前にもう一度家族で行ったのだけど、おばあちゃんの住んでいた家は広くてただガランとしているだけだった。何の気配も感じられなかった。
 ちょっと寂しい夏になってしまったよ。
 おばあちゃんの田舎は岩手県の遠野なんだ。