創作の森に迷い込んだカエルの話

写真家、小説家などの創作活動にあこがれるカエルが、ふとしたきっかけで富士山の麓にある創作の森に迷い込んでしまったお話

超ショートショートの不思議な世界 地上の標的

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「地上の標的」

 夜空に弓のような月が浮かんでいる。
 上弦の月だ。
 月の上が欠けたり下が欠けたり。地球の影だとわかっているけど、太古の昔から月も忙しいよな。
 それにしても、月は弓の形になって何を狙うつもりなのだろうか。
 ふとそんなことを考えたりもして。
 夜空を見ながらの散歩も楽しいよな。
「クソッ、せっかく弓を引く準備が整ったというのに、標的がクルクル目まぐるしく回り続けるからなかなか定まらない。そんなことをしているうちにまた期をのがしてしまった。次の下弦の月になるまで待たなくちゃ」
 月がそうつぶやいた。
 月は太古の昔から、地球上の標的に向かって矢を射ろうとしているのだが、地球の自転速度が速すぎて未だに射ることができないのだ。
 標的は何かだって?
 月にいくら聞いても、
 「地上の人間には教えないよ」
 というんだよね。