創作の森に迷い込んだカエルの話

写真家、小説家などの創作活動にあこがれるカエルが、ふとしたきっかけで富士山の麓にある創作の森に迷い込んでしまったお話

超ショートショートの不思議な世界 時を超えたロマンス

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「時を超えたロマンス」

 

 私は時空調査員の研修期間を終えて、仕事で初めて過去にタイムトリップすることになった。
 目標時点(地点ではないのですよ)は戦国時代。
 もうワクワクドキドキ、過去の世界の素敵なイケメンに巡り合って、恋が芽生えちゃうかも、そうなったらどうしよう。
 そんな私を見ている先輩調査員たちは、なぜかにニヤニヤ。
 中には、素敵なイケメンに出会えるように協力してあげるわよ、なんて冷やかすベテランの調査員まで。
 早速先輩調査員とタイムスリップ、速やかにその時代の人々の中に紛れ込む。
 ゲッ、期待と裏腹なにこの時代、イケメンなんてどこにいるの?
 道行く人々は誰もみな身長低いし、老けて見えるし。予想はしていたけど、日に焼けたのか汚れているのかわからない肌の色、笑った時に見える歯も無い人が多いし、あっても汚い。
 そりゃあ中には女の子にモテまくっている男もいるけど、私から見たらその男のどこがイケメンって感じ。
 先輩調査員が笑いながら説明してくれた。
 「過去を変えることはできないし、もちろん過去の時代の異性との恋愛も禁止。しかし、その点は研修ではあまり強くは言われなかったわよね。なぜかというと、そんなことは絶対に起こりえないの。時代が変われば同じ人間でも全く異なる種族なのよ。周りを冷静に見ればわかるでしょ、私たちの住む時代の意識をそのままに交流することは無理。だから冷静に仕事ができるのよ、勉強になったわね」
 ハイ、時空を超えてのロマンスは成立いたしません、身をもって体験いたしました。