創作の森に迷い込んだカエルの話

写真家、小説家などの創作活動にあこがれるカエルが、ふとしたきっかけで富士山の麓にある創作の森に迷い込んでしまったお話

超ショートショートの不思議な世界 子供たち

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「子供たち」

 私はミュージシャンとして、血のにじむような努力を重ねて今の地位を築いた。
 そして金も名誉も手に入れた。
 だが、これらはいくらあっても物足りない。私はまだまだのし上がり、誰もがうらやむ存在になりたいのだ。
 そのためだったら何でもやる。
 そんな私のところに曲を作ってほしいと依頼が来た。
 世界の子供たちを救済するための曲。
 願ってもない依頼じゃないか、これで私の知名度は世界的なものになるだろう。
 曲ができ、まずは私が歌ってみる。素晴らしい出来栄えだ、世界的大ヒットは間違いない。
 本番は、世界各国からオーディションで集められた子供たちが歌う。
 ところが、子供たちがいくら練習しても心に響くような歌にはならない。どこか濁って響いてくる。
 子供たちのレベルが低いのか?
 いやそうではない。童謡などは実に清らかに歌い上げるのだから。
 なぜなのだ、こんなことでは私の評判は地に落ちてしまう。
 その時声が響いた。
 純真な心をもつ子供たちを、己の地位や名誉や利益のために利用しようとするとそうなるのさ。