創作の森に迷い込んだカエルの話

写真家、小説家などの創作活動にあこがれるカエルが、ふとしたきっかけで富士山の麓にある創作の森に迷い込んでしまったお話

超ショートショートの不思議な世界 見なかったことに

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「見なかったことに」

 突然、ガツンという衝撃が僕の体に走った。
 そして地面にたたきつけられる。
 キャーという悲鳴が周囲から聞こえる。
 どうやら僕は、信号無視をしてきた車に跳ね飛ばされたらしい。
 僕にぶつかった車はフロントが大きくへこんでいる。
 若い男が青ざめた顔で運転席から降りてくる。
 この状況はまずい、僕は急いで自分の体を点検した。
 右腕の皮膚が大きくはがれている。
 持っていたハンカチで、急いでその部分を隠す。
 そして大声で周りの人たちに叫んだ。
「僕は大丈夫、今のは見なかったことにしておいて」
 そういって、駆け足でその場を離れた。
 危ないところだった、危うく僕が人間界に送り込まれたロボットだってばれてしまうところだった。
 はがれた皮膚から覗く腕のパーツを見ながら冷や汗をぬぐった。
 世の中には数多く、同じような光景を目撃した人がいるんじゃないかな。
 ロボットは僕一台だけではないのだから。